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2020年4月25日土曜日

『日入国常闇碑伝』「英雄蠅」#5 闇佐と光介

【ネタバレ】詠坂雄二『日入国常闇碑伝』(講談社ノベルス)「英雄蠅」検証第5回


詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『日入国常闇碑伝』も例に漏れず、雑誌掲載時から書籍化(新書)する際の加筆修正があるので検証を行っていこうと思います。

『日入国常闇碑伝』の「英雄蠅」検証第5回目です。
今回は光介が闇佐のいる平屋敷に入った場面から、闇佐と光介が常闇に出る群青具足について話し合っている場面までになります。

以下ネタバレありますので作品読了後にご確認ください。





・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

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「英雄蠅」#5


【新書→雑誌】・紋付きを羽織り大小を差している者などひとりもいない。(p169下)→紋付きを羽織り大小を指す者など一人もいない。

【新書→雑誌】・また職人のような作務衣姿であった。(p169下)→また町人のような作務衣姿であった。

【雑誌のみ】・猫背のために低く見え、口元にへばりついた薄笑いは暗い性格を思わせる。(新書p169下7と8行目の間に入る)
※闇佐の外見についての描写はあまりないので貴重な部分です。

【新書→雑誌】・光介に気づくと笑みを見せた。眼差には好奇の光が浮かんでいる。光介は畳に膝を突いて述べた。(p169下)→光介に気づくと笑みを返して見せた応じ、光介は畳に膝を突く

【新書→雑誌】・「ははあ。丁寧な挨拶いたみいります―が、堅苦しいあれこれはなしにしましょう」(p169下)→「そんな風な役なんでしょうなぁ。丁寧な挨拶いたみいります―が、堅苦しいあれこれはなしにしましょう。奉行様からは位同列と聞いています
※ここでも闇佐がどのような位にいるのかがわかり、貴重な部分だと感じます。

【新書→雑誌】・座る光介の所作を眺めつつ闇佐は唸った。(p169下-170上)→座る光介の所作を眺め、闇佐はふうむと唸った

【新書→雑誌】・「ははあ。いや実はわたしもそうなのです。闇を佐けるなど縁起でもないとは思いますが」(p170上)→「ははぁ。いや実はわたしもそうです。闇佐。闇を佐けるなんて縁起でもないとは思いますが、ま、そんな名前を賜っても文句を言えないことばかりしてきましたもので
※闇佐も、守峰刀冶朗が名付けなんでしょか…。章によっては違うとは思いますが。

【新書→雑誌】・刀冶朗様が出世を望まず斥候であり続けたのもそれゆえで言葉に混じった情を聞き、光介は尋ねた。(p170上)→ことに表で活躍する方にとっては。―だからこそ、刀冶朗様は出世を望まず物見であり続けたのでしょう」言葉に情が多く混じるのを聞きとり、光介は尋ねた。

【新書→雑誌】・「それはもう。(p170下)→「ええ。

【新書→雑誌】・精一杯与力させていただきますよ」早速と闇佐は机の図面を示した。(p170下)→刀冶朗様の仇討ちということで、精一杯やらせていただきますよ」早速と闇佐は机に広げられた図面を示した。

【新書のみ】・「遭遇例は(p170下)

【新書→雑誌】・妖魔のたぐいだと思ったそうで」(p170下)→新たな魔物だと思ったそうで」

【新書→雑誌】・「群青具足は重たい造り、身を守るだけならば鎖帷子などのほうがどれだけ良いか判らぬところやはり妖魔のたぐいでは?」(p171上)→「尋常の沙汰とも思えぬ。群青具足は重たい造り。身を守るだけなら鎖帷子の方がどれだけ良いか判らぬ……やはり魔物のたぐいでは



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#6へ続きます。

次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。

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