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2020年4月4日土曜日

『日入国常闇碑伝』「雨鉄炮」#6

【ネタバレ】詠坂雄二『日入国常闇碑伝』「雨鉄炮」検証第6回


詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『日入国常闇碑伝』も例に漏れず、雑誌掲載時から書籍化(新書)する際の加筆修正があるので検証を行っていこうと思います。

『日入国常闇碑伝』の「雨鉄炮」検証第6回目です。
今回は常闇と鉄炮の相性の話から引き続き闇佐と村長の会話の場面から、「手長」の名があがったところまでになります。

以下ネタバレありますので作品読了後にご確認ください。





・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。


「雨鉄炮」#6


【新書→雑誌】・形女衆の武装とはまず鉄炮だ。(p135下)→形女衆の武装とは鉄炮であろう

【雑誌のみ】・そうも闇佐は心得ていた。(新書p135下12行目の後に続く)

【新書→雑誌】・ひとりで完結する兵器ではなく、集団で運用されてこそのものなのだ。(p135下)→一人で威力を発揮するのではなく、多数が揃っての鉄炮なのだ。

【新書→雑誌】・とりわけ妖魔と呼ばれる常闇特有の怪異は、時に生命の道理すら無視して現れる。(p135下-136上)→現実として、常闇に住まう生物には、人より生命力が強いものが少なくない。

【新書→雑誌】・果たして対人の用しか想定されていない鉄炮がどこまで通用するものか。(p136上)→果たして人を相手にすることしか想定されていない鉄炮が通用するだろうか。

【新書→雑誌】・「名が滅ぶは定め、そう知るべきでは」(p136上)→「名が滅ぶは定め、そう知るべきだったのでは

【新書→雑誌】・「……その滅すべき怪異が姿さえ判らぬのに雨鉄炮と呼ばれるのは何故なのです」「砂州にはやまぬ雨が降り続けておるのですじゃ。そこに銃火が響いておるのだそうで。これは雨鉄炮の仕業とするほかないと」(p136上)→「……姿も判らぬのに雨鉄炮と言われているのは、何故です」「砂州には雨が降り続けておるのですじゃ。止まぬ雨に銃火が響いておるのだそうで。そして送った者は帰らぬ。これは雨鉄炮の仕業とする他ないと」

【新書→雑誌】・「此度が最後の試みですじゃ。(p136上)→「今度が最後ですじゃ。

【新書→雑誌】・「しかし、一体いずれが雨鉄炮退治を?形女衆の放ち手はあらかた失われたのでしょう?」(p136下)→しかし、と闇佐は連ねた。「一体いずれが雨鉄炮退治を?形女衆の放ち手はもうおらぬのでしょうに。よもや御老体が―

【新書→雑誌】・「まだ儂らの念が作った鬼子がおります。それにやらせるので」(p136下)→「形女衆の放ち手はおりませんですじゃ。しかし、儂らの念が作った鬼子がおります。それにやらせるので」

【雑誌のみ】・ひゃひゃひゃ、とそこで初めて老人は笑う。(新書p136下8と9行目の間に入る)

【新書→雑誌】・手長。それは民話に登場するもののけの名だ。(p136下)→手長―それは本邦に伝わる民話の名であり、またそこに登場するもののけの名でもあった。
※手長が民話に出てきますが、手長が民話のタイトルであることは雑誌のこの部分のみになります。


コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
#7へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。

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