【ネタバレ】詠坂雄二『日入国常闇碑伝』「事為得」検証第5回目
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『日入国常闇碑伝』も例に漏れず、雑誌掲載時から書籍化(新書)する際の加筆修正があるので検証を行っていこうと思います。
『日入国常闇碑伝』の「事為得」検証第5回目です。
今回は、街道での無数の敵との戦いの場面から戦いのあと、闇佐が櫃に対して不審を抱く場面までです。
以後ネタバレありますので作品読了後にご確認ください。
・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫のどこに書かれていたかも記載しています。
・【新書のみ】…書き下ろしです。
・【新書→雑誌】…雑誌ではこうだった。
・カッコ内は、新書でのページ数とその上段か下段かになります。
・必要なところに解説を加え、重要な部分は太線にしています。
「事為得」#5
【新書のみ】・手の中で、それらは馴染みのある柔らかさと冷たさを持った感触の土になっていた。(p63上)【新書→雑誌】・敵は土でできているようなのだ。(p63上)→敵は土でできているのだった。
【新書→雑誌】・帯びた具足まで土で形作られている。(p63上)→帯びたもののぐまで土で形作られている。
【新書→雑誌】・何者かが拵えたものか。しかし、土細工ならば剛い形は保てない。(p63上-下)→何者かが拵えたもの―とは、しかし思われない。人が拵えた土細工ならたやすく崩れ去る。
【新書→雑誌】・だが、今襲いかかるそれらは人とさして変わらぬ大きさなのだ。(p63下)→だが見たところそれらの大きさは人とさして変わらない。
【新書→雑誌】・今のところ襲撃を受け止められているが、これが土地に根差す怪異なら、土がなくならぬ限り新手が尽きぬ虞れもある。(P63下-64上)→今のところこちらはまとまり、襲撃を受け止められているが、土地に根差す怪異なら―土がなくならぬ限り新手が現れるだろう。
【新書→雑誌】・あとの五人は(p65上)→あとの五人は心を砕かれ、
【雑誌のみ】・しかし闇佐は評価を改めたい想いだった。(新書p65下の2行目の後に入る)
【新書→雑誌】・「ああいった常闇での作法など、我々には知らぬことばかりで」(p65下)→「ああいった作法など、我々には判らぬことばかりで」
※帝家の侍従長の言葉ですが、峰邑家の残した『常闇作法心得』に引っ掛けているんでしょうか。
【新書→雑誌】・集団は闇光を放っていた。(p65下)→集団の一人一人が闇光を放っている。
【新書→雑誌】・その櫃が光っていた。(p66上)→その櫃が光っているのだった。
【新書→雑誌】・なにがしかの想いが籠もれば闇光を放つとされる。(p66上)→なにがしかの想いが籠もっていれば闇光を放つ。
【新書→雑誌】・闇光程度遮れなくてどうします」(p67下)→闇光程度遮れなくては」そういう理屈か。
コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
#6へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
0 件のコメント:
コメントを投稿