【ネタバレ】詠坂雄二『日入国常闇碑伝』「炎吹刀」検証第13回
詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。
『日入国常闇碑伝』も例に漏れず、雑誌掲載時から書籍化(新書)する際の加筆修正があるので検証を行っていこうと思います。
『日入国常闇碑伝』の「炎吹刀」検証第13回目です。
今回は三護大学の調査結果からラストまでの場面になります。
雑誌のみの炎吹刀の秘密があります。
以下ネタバレありますので作品読了後にご確認ください。
・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
「炎吹刀」#13
【新書→雑誌】・いわゆる硝子金属だ。(p124下)→つまるところ硝子金属だ。
【新書→雑誌】・しかし三護大学はそうした調査結果から、博物館の炎吹刀が技術の進んだ後世に作られた偽作だという結論を導いてはいない。(p124下)→しかしその調査結果は、博物館の炎吹刀が技術の進んだ後世に作られた偽作だと結論づけたわけではない。
【雑誌のみ】・むしろそれ以上のことを言っている。(新書p124下16と17行目の間に入る)
【新書→雑誌】・作製方法の難度から、(p124下-125上)→作製方法から、
【雑誌のみ】・いずれにしろ、国立博物館収蔵の『打刀佐藤炎吹千二番』―俗銘『誠』は、僅かに残った自らに大きな謎を秘めつつ、佇まい以上の何ものも語ってはくれない。(新書p125上9行目の後に入る)
【新書→雑誌】・日入刀の作刀技法は(p125上)→日入刀はその作刀技法が
【雑誌のみ】・このあたりが、時に複雑怪奇と呼ばれる日入精神の表れなのかもしれない。そう考えれば、世界的にも稀な二百年以上に及ぶ内乱を好戦的に経てなお国号ひとつ変えることなく、以後現代まで、思想家たちから外交放棄と罵倒されつつも平和主義を貫いてきた人々が野蛮な白兵武器を好み、古色蒼然たるその作刀技法を現代まで伝えてきたことにも筋が通るように思われる。(新書p125下2と3行目の間に入る)
【新書→雑誌】・炎吹当人の記録が少ないことも、(p125下)→佐藤炎吹の記録が少ないことも、
【新書→雑誌】・にもかかわらず同時代の史料に(p125下)→それなのに同時代の史料に
コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
次回は炎吹刀について少し考えてみます。
お付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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