詠坂雄二『ナウ・ローディング』内の短編「すれちがう」7回目です。
タクミが帰ってきた場面から物語の最後の場面になります。
帰ってこなかった理由が雑誌と書籍(四六判含む)とで違っています。
ネタバレもありますので、作品読了後にご確認ください。
・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。
「すれちがう」#7
【文庫→雑誌】・自転車を引きずりながらタクミは近づいてきた。(p260)→自転車を引きずってタクミのほうから近付いてきた。
【文庫→雑誌】・タクミは一気に喋った。いちばん近い海岸はJR駅のもっと向こう。(p260)→タクミの顔は真っ赤だった。海は駅のさらに向こう。
【文庫→雑誌】・それならかなりの時間がかかる。かかるけど、それでも昨日のうちに帰ってこられるんじゃないだろうか。(p260)→かなりの距離だ。何時間かかったんだろうか。
【文庫→雑誌】・「なんでこんなんに時間かかったんだよ」「近道しようとして道に迷った!で、ずーっと歩いてたんだ!自動販売機の温かいレモンティしか飲んでないから、すっげー腹減ったよ」(p261)→「とても夜は歩いてらんなくてさあ。泊めてもらっちゃたよ」「……誰のとこに?」「いや海で会った人のところに。海のそばのアパートでさ。すげーぼろいの。木なんだ木、全部。だから錆びなくて良いらしいけど」
※四六判では単に「道に迷った!」となっている。
【文庫のみ】・ぼくとレンは顔を見合わせて、(略)タクミは時々こういうことやるもんなあと。(p261)
【文庫→雑誌】・昨夜のうちに家には電話して、歩いて帰ることを報せたという。(P262)→昨夜のうちに家に人の家に泊まることの電話をしたと。
【文庫のみ】・「このタクミ、家へ帰るのに人の手は借りぬ!」胸を張って言われたけれど、やっぱり意味が判らない。(p262)
【文庫→雑誌】・よみさかはそんなタクミの姿を見てふいっと笑い、ぼくとレンに言った。(p266)→よみさかはそのタクミの姿をちらっと見て、近付いてきたぼくに言う。
【雑誌のみ】・きっと、ぼくとレンがタクミのお母さんと話した内容を聞いた時に気付いてたんだろう。ぼくとレンが勘違いしていることに。(文庫p266の4と5行目に入る)
【文庫のみ】・真実が判らなくても、それらしい嘘を作ることならできる。(p266)
【文庫→雑誌】・でもそれはぼくらを嫌ってたからじゃない。(p267)→でもそれはぼくらを嫌っていたからじゃない。いや、嫌ってたのかもしれないけれど、また別の理由があったんだ。
【雑誌のみ】・よみさかは、すれちがい通信のためにベンチに座ってたらしい。ゲームのために外に出てきたんだ。(文庫p269の1行目の後に入る)
【文庫】・そういうルールを守らせるほうに(略)そう考えたところで、(p269)
【文庫→雑誌】・すれちがったあとのことまで、ゲームは面倒見てくれないんだから。(p269)→3DSはそこまで面倒見てくれないんだから。
コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
次回から表題作「ナウ・ローディング」をみていく予定です。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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