詠坂雄二『ナウ・ローディング』内の短編「本作の登場人物はすべて」検証第5回目です。
引き続き「ばらくうだ」の忘年会の場面です。
『リヨナの冒険』でどうしても見られない最後のシーンの画像について話している場面です。
ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。
「本作の登場人物はすべて」#5
【文庫→雑誌】・きっとそうなんだろう。……いや本当のところは判らない。(p174)→そうだろう。
【文庫→雑誌】・作るのは、きっと尋常じゃなく大変なのだ。(p175)→本格的な作品を作るのは、きっと尋常じゃなく大変なのだ。
【文庫→雑誌】・彼女の量の瞳は何も見ておらず、ただ空虚へと向けられていた。(p176)→その瞳は空虚に向けられ黒目がなくてハイライトが飛んでいる以外は生きている状態と変わらない屍体の目になっていた。
【文庫→雑誌】・三枚目も構図は同じで、やはり陵辱者はいない。ただ塗りに差があった。屍体の汚しが増えている感じなのだ。瞳も二枚目より濁ったものになっている。(P176)→三枚目は、一枚目と二枚目より屍体の汚れが増えている感じた。瞳も濁っている。
※この場面がしっかり補えたので、後の詠坂の説明もより説得力が増したと思います。
【文庫→雑誌】・やっぱり決定的にずれている。(p178)→やっぱり先へとずれている。
【文庫→雑誌】・あまり激しいものは販売サイトの審査を通らない。でも―(p178)→なのにモザイク修正が施されていないのは、作家が修正を諦めて、普通のプレイでは表示できないよう調整することで審査を通した結果と考えられないこともない。でも―
【文庫→雑誌】・しかもそこは後発のややマイナーなとこなんです」(p179)→しかもそこは後発のマイナーなとこなんです」
※『リヨナの冒険』の販売サイトのこと。微妙なニュアンスですが、結構印象が変わりますね。
【雑誌のみ】・修正基準も販売サイトごとに差があって、大手だと、イラストの解像度に応じてモザイク一辺のピクセル数まで指定されたりする。基本的に、シェアが低いサイトほど修正は緩いようだ。大手と同じでは、売れない以前に作品が集まらないからだろう。エロ漫画にも、掲載誌のあいだで似たような駆け引きがあるから判る。(文庫p179の6行目に入る)
※雑誌では“(略)モザイクは入れないみたいでした。”で一旦会話と切って、“それに、”の前に挿入されている。
【文庫→雑誌】・もっと言うと、女を殺して犯しそうなキャラもゲームの中にいない。いなくて物語に過不足を感じることもない ※雑誌では文庫p180の4と5行目の間に入る
【文庫→雑誌】・もしもシーンを削除するなら、あの空欄だって詰めておくように思うのだ。ふうむと柵馬さんはうなった。(p180)→素人考えだけれど、回想モードの空欄を詰めて消しておくことも、そんなに難しい作業とは思えないのだ。感覚的な話だけれど、いちばん気になるところでもあった。
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#6へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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