詠坂雄二『ナウ・ローディング』内の短編「すれちがう」検証第5回目です。
大幅に削除されているところ、細かいですが話の内容が変わる部分があります。
・あくまで推測ですが、雑誌版ではケンタ、タクミ、レンの年齢は小学校高学年で、四六判と文庫の書籍版では小学校中学年くらいの設定なのかと感じました。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。
「すれちがう」#5
【文庫→雑誌】・もしも宝くじの当選金目当ての誘拐だったのなら、(p252)→計画的犯行なら、
【文庫→雑誌】・それを隠すために雨戸を閉め切ったりするんだ。(p253)→家の中で目立たず動くために雨戸を閉め切るのが普通だ。
【文庫のみ】・宅配業者なんかを装ってな。(略)外から目立つだろう。(p253)
【文庫→雑誌】・「死んでるって……」それはぼくとレンが思いもしなかったことだ。(p254)→「死んでるって……」それはぼくとレンが口にもしなかったことだった。
※雑誌では死んでるかも、って二人は思っていたんですね。
【文庫→雑誌】・それでも、ぼくらを安心させようと喋ってこれているのは伝わる。(p254-255)それでも、ぼくらを安心させようとしているのはぼんやりと伝わってきた。
【文庫→雑誌】・言いたくなかったのか、言うまでもないと思ってたのか」(P255)→人に秘密にしたいことと言えば―」
【雑誌のみ】・はは、とよみさかはそこで笑った。そして尋ねてくる。「今の小学生もエロ本とか探したりするのか?」え、エロ本?ぼくは答に詰まった。なのにレンがさらっと言うのだ。「探さないです。そういうの、ネットでいくらでも見られるし」そうなの?ぼくが驚いていると、やっぱそうかとよみさかは空を仰いだ。それも情緒のない話だよなあと言う。「ま、そう考えるのは僻みの裏返しか。ネット環境がありゃそれが普通だわな。でも、ケンタは違うんじゃないか?」「えっ?」「インターネットを見たりするのか」「いや、ううん、パソコンはお母さんが触らせてくれないし。3DSで見られたりもするみたいだけど、ぼくはあんまり……」「そうか。それもそれで普通だよな。ちなみにタクミはどうだ?」「インターネット?やってなかったと思うけど」「だったら行動範囲が無闇に広がったりはしない。お前らも知ってる場所にタクミは向かったはずだ。エロ本ってのは思いつきだとしても、目的を言いたくなかったってのはありえる。それにもうひとつ、言うまでもないと思っていた可能性もな」(文庫p255の13行目の前に入る)
※雑誌の行数で28行丸々削除されています。この次の短編「ナウ・ローディング」で詠坂はエロ本を買うんですが、削除されてなかったら対になってるようで面白いなとも感じましたが……。そう言えば彼ら三人は小学何年生なんでしょうか。
#6へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
0 件のコメント:
コメントを投稿