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【検証】『日入国常闇碑伝』常闇の正確な発生期間

詠坂雄二『日入国常闇碑伝』(講談社ノベルス) ー常闇の正確な発生期間ー 詠坂雄二『日入国常闇碑伝』の「常闇」の正確な発生期間が曖昧にしか書かれていないので、作品内から検討をつけました。 以後ネタバレがありますので作品読了後にご確認ください。 こちらのブログも...

2020年1月22日水曜日

「スコッティが尽きたなら」#3

詠坂雄二『ナウ・ローディング』の短編「もう1ターンだけ」第3回目、検証最終回です。


この短編の時期は、宇波の自殺から1年半後、プレスタ休刊と流川の収監から2年ほど経っています。

ネタバレがありますので作品読了後にご確認ください。




・【雑誌のみ】…文庫では削除。どこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。


「もう1ターンだけ」#3

【文庫→雑誌】・あとはこれを校舎裏手のゴミ収集所に置けば終了だ。(p47)→あとはこれを学校裏手のスチール箱に移せば終了だ。

【文庫→雑誌】・郵送作業しますよって、こっちから言ってあげたのに」少しひっかかった。(p48)→わたしが郵送作業しますよってこっちから切り出したのに、それだけはやめろなんて言うんです」「……やめろ?」「そう。やらなくていいじゃなく、やめろって」それは少しひっかかった。どうして書いた人間に送ることをやめろなんて言うんだろう。タイムレターはそのために書かれたはずなのに。もうひとつ気になることがあった

【文庫のみ】・午後二時前(p49)

【文庫→雑誌】・「ええまあ。皆さんお忙しいようだったので、暇な自分が」(p49)→「ええまぁ。皆さん、持て余しがちだったもので、暇な自分が」

【雑誌のみ】・教わることは初めからないと思っていたし、クラスメイトに尊敬できる奴、話をしたい奴なんていはしなかったからだ。(文庫p51の1行目と2行目の間に入る)

【文庫→雑誌】・もし当時、ここに仲間がいれば話も違っていたんだろうが―(p51)→もし当時、仲間でもできていれば話は違ってたんだろうが。

【文庫→雑誌】・生きることを迷わせないこと。(p53)→迷わせないこと。

【文庫→雑誌】・夢を諦められる人間に諦めさせることもそこに含まれる。(P53)→道を諦めさせることも当然そこに含まれる。

【文庫→雑誌】・うちの講師に処分させ、その内容に目を通させることで、我々の教育の始末について考えさせることができる、そう思ったんですが―」(p53-54)→取りに来ることがなかったものも、講師たちに処分させ、内容に眼を通させることで、自分たちの教育の影響について考えさせることができる、そう思ったんですが―」 ※文庫では校長をも含む印象が強くなっていますね。

【雑誌のみ】・集まる生徒たちも、俺の講義に即戦力となるスキル育成といった内容を求めていないからだ。(文庫p55の14行目“もしもプロの”の文の前に入る)

【文庫→雑誌】・二年前に休刊となった、思い出深い仕事先である。(p56)→ちなみにその雑誌は二年前に休刊になっていた。

【雑誌のみ】・今エロゲーと言えば、ソフ倫の審査を通してメーカーから出るものより、同人ゲームのほうが熱いとされている。制作規模といった点で、エロゲーは一般ゲームよりも商業と同人の距離が近く、技術の蓄積が問われる部分も少ないだけに、フットワークが軽く、流行を鋭く反映できる長所が存分に発揮できるからなのだろう。(文庫p57の11行目と12行目の間に入る)

【文庫→雑誌】・原稿料は安いはずだ。見開き二ページ、レイアウトもこっち任せだろう。(p58)→原稿料は安いはずだ。見開き二ページ、恐らく一万前後だろう。レイアウトもこっち任せで、編集代も込みでその値段になる。というか、それがギリギリだ。数合わせのページに漫画の原稿料以上を出せるわけはない。 ※原稿料の話が出てくるのは雑誌版のここだけです。四六判でもカットされていますし、他作品でも出てきません。貴重ですね。

【雑誌→四六判→文庫】悔しいねえ、ああ、本当に悔しいよ悔しいことにね(四六判p54)→悔しいの記載はなし ※『ばらくうだ』本誌が、プレスタがいちばん景気の良かった頃よりも利益は出ていることについての編集長の言葉で、文庫版では悔しいという記述そのものがなくなっています。今の所、プレスタ休刊についての編集長の感情はここでしかみられません。

このシリーズから、柵馬がライターとしてもちなおしたように感じます。『ばらくうだ』での連載も12回どころか全48回(46回)続くことになりますし。

次回は、ドラクエⅢのRTAが題材の「悟りの書をめくっても」です。
お付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。


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