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【検証】『日入国常闇碑伝』常闇の正確な発生期間

詠坂雄二『日入国常闇碑伝』(講談社ノベルス) ー常闇の正確な発生期間ー 詠坂雄二『日入国常闇碑伝』の「常闇」の正確な発生期間が曖昧にしか書かれていないので、作品内から検討をつけました。 以後ネタバレがありますので作品読了後にご確認ください。 こちらのブログも...

2020年1月12日日曜日

「そしてまわりこまれなかった」#1

詠坂雄二『インサート・コイン(ズ)』の短編「そしてまわりこまれなかった」の検証第1回目です。


この作品は、『インサート・コイン(ズ)』内の作品では発表が一番古いものになりますが四六判や文庫では最終話の位置づけになっています。「そしてまわりこまれなかった」を最後に持ってくることで、続編の『ナウ・ローディング』の「もう1ターンだけ」につなげる意図があったと思われます。


またこの短編のみ、雑誌掲載時は「ゲームなんてしてる暇があった」シリーズではなく、「ドラクエⅨ発売「延期」記念!?」とサブタイトルが付けられています。イラストも中原青餅氏ではなく、今作のみ唐木みゆ氏となっています。


・【雑誌のみ】…文庫では削除。文庫版のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。
ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。




「そしてまわりこまれなかった」#1

【文庫→雑誌】・今でもゲームは好きだ。(p221)→あの頃のように胸を張って言い切れないにしても、今でもゲームは好きだ。

【雑誌のみ】・雑誌が潰れなければ、今でも続けていただろう。(文庫p221の9行目の後に続く)

【文庫→雑誌】・宇波が上京しアルバイトとして小さなゲーム会社に潜り込むと、(p222)→宇波が上京しテストプレイヤーとして小さなメーカーに潜り込むと、

【雑誌のみ】・どちらもバイトの流れで得た仕事で、俺も宇波もその点、かなりいい加減な性格だったのは確かだ。(文庫p222の6行目の後に続く)

【文庫→雑誌】・報せを聞いた翌日、俺は防虫剤臭いスーツを引っ張り出して新幹線に乗った。(P224)→翌日、俺は防虫剤臭い喪服を引っ張り出して新幹線に乗った。

【文庫→雑誌】雑煮の残りを食べながら宇波の通夜があることを説明して、(p224)→宇波の通夜があることを説明して、昼食として雑煮の残りを食べると、 ※説明してから雑煮を食べた、から雑煮を食べながら説明をしたへ変更されていますね。ひとつ下の訂正にある、ファミマガ付録を見たくて、昼食を早く食べて自分の部屋へ戻りたかったのかもしれません。

【文庫→雑誌】・本棚に置きっぱなしになっていた二十年前のファミマガ付録を読んでいるうち、(p224)→本棚に置きっぱなしになっていた十年前のファミ通を読んでるうち、
 ※作中は2009年正月の話です。十年前のファミ通から二十年前のファミマガ付録に変わったのは…、二十年前は1999年で、柵馬がライター業を始めた年になることと、本編の柵馬の心情と結末に関係を持たせたのかもしれまん。

【雑誌のみ】・詳しくは聞かなかったから判らない。(文庫p225の12行目の後に入る)

【雑誌のみ】・細部は忘れたが、愉しかった記憶は今でも残ってる。(p226の5行目の後に続く) ※ファミコン版ドラクエⅢについて。ゲーム好きならあのドラクエⅢを忘れるか…!?ということでしょう。

【文庫→雑誌】・スマートフォンを取り出し、グーグルで検索してみた。(p226)→ネットブックを取り出し、グーグルで検索してみた。

【雑誌のみ】・それなら、ひらがなだけ使わせる方がいいと制作者は考えたのだろう。(文庫p227の13行目“なるほどためらわれるだろう。”と“データ節約”の間に入る)

【文庫→雑誌】・俺は来る日も来る日も文章をどう水増しするかに腐心しているのだ。(p228)→俺は来る日も来る日も、魂の籠もっていない文章をどう水増しするかに腐心しているのだ。


#1の大きな変更点は、ファミマガのくだりだと感じました。深く読み込まないとわからないことですが。


#2へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。

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