詠坂雄二『インサート・コイン(ズ)』内の短編「俺より強いヤツ」検証第2回目です。
今回は病狐のインタビューの場面です。ネタバレがありますので作品読了後にご確認ください。
・【雑誌のみ】…文庫版では削除。文庫版のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫版書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…文庫の文が雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。
「俺より強いヤツ」#2
【文庫→雑誌】・それでも戦いを続けていれば同じように続けている者と組まされる。(p127)→それでも、続けていればより強い者と組まされる。
【文庫→雑誌】・一方の屍狼はなんというか、純粋な強さを求めている人でした。(p129)→一方の屍狼は―なんでしょう。力を求めているぶんだけ、判りやすい人でした。
【文庫→雑誌】・ちょっとした学校の体育館ほどの大きさで、天井まで高さがあり、荷物が所狭しと積み上げられていて、(p130)→ちょっとした学校の体育館ほどの大きさで、天井まで高さがあり、内部には柱が並び、荷物が所狭しと積み上げられていて、
【文庫→雑誌】・あの日、わたしは予定時刻より早くそこへ行きました。(p130)→あの日、わたしは予定時刻より大分早くそこへ行きました。
【雑誌のみ】・蚊も少なく、物音を立てても良い環境でした。(文庫p130の8-9行目“潮風のせいだったかもしれません。”のあとに続く)
【雑誌のみ】・しかし自身はありました。若いと言ってしまえば、それまでですが。(文庫p130の10行目“勝手なものです。”のあとに続く)
【文庫のみ】・合気にそぐわない行動だと思えたからかもしれません。(p133)
【雑誌のみ】・―もっとも、そこまで人気ってわけじゃないけどな。それでも興行と無縁じゃいられない。そして興行は、操作されていないスキャンダルを嫌うものさ。(中略)ごまかしたり嘘で染めるのは、あのころの俺に失礼だと考えてるわけさ。(文庫p137の12-13行目の“マッチメイクだろうと逃げるつもりはない。”と“犭か。”の間に入る) ※格闘家のこと、後ろ暗いことがあること、犭を語るなら正確に語りたくはあること、を雑誌版で23行にわたり書かれている。
【文庫→雑誌】・それだけじゃなく、左手を伸ばして泥犬の衿を摑むこともできた。(P144)→だけじゃなく、左手を伸ばして袖を摑むこともできた。
【文庫のみ】・けど意識はそれから三十秒くらいはあったよ。(p144)
【文庫→雑誌】・へえ、という顔で詠坂は俺を見た。「自分にも似たような経験があるってな言い方ですねえ」「ねえよ」「俺もねぇです」はいと詠坂は頷き、視線を逸らすと、でもと続けた。(p147)→はい、と詠坂は一人頷き、視線を逸らすと、でも、と続けた。
いかがでしたでしょうか。
屍狼の、格闘家のことなどについてや、最後の喧嘩場所の建物内部、屍狼が泥犬の衿を摑んだのか袖を摑んだのかの違いなどが、細かいけれど重要な修正ではないでしょうか。
#3へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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