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【検証】『日入国常闇碑伝』常闇の正確な発生期間

詠坂雄二『日入国常闇碑伝』(講談社ノベルス) ー常闇の正確な発生期間ー 詠坂雄二『日入国常闇碑伝』の「常闇」の正確な発生期間が曖昧にしか書かれていないので、作品内から検討をつけました。 以後ネタバレがありますので作品読了後にご確認ください。 こちらのブログも...

2020年1月3日金曜日

「マリオと同い年ですね」#2

【ネタバレ】詠坂雄二『インサート・コイン(ズ)』内の短編「穴へはキノコをおいかけて」検証第2回目です。


任天堂の公式設定ではマリオは二十六歳くらい、だそうです。

・【雑誌のみ】…文庫版では削除。文庫版のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫版書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…文庫の文が雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。
ネタバレもありますので、作品読了後にご確認ください。




「穴へはキノコをおいかけて」#2

【雑誌のみ】・頭の中で指折り数えてみれば、俺は二十六歳なのだ。二十代も半分が過ぎている。ライター業に見通しと呼べるものはない。それでも焦りや不安は感じない。(文庫p18の12行目の後に入る)

【文庫→雑誌】・ー小学一年生か二年生のころ、俺はスーパーマリオで遊んでいた。(p18)→ーつまり小学一年生か二年生の頃、俺はスーパーマリオで遊んでいたんだろう

【文庫→雑誌】・そう考えればいくつか思い出す景色やエピソードがある。(p18)→一緒にプレイしていた友達の顔も思い出せないが、記録に近い記憶はある。

【雑誌のみ】・いや、それくらい俺の中でゲームが大切ということなのだろう。好きなものを好きと公言できるのはオタクの条件でもある。(p19の2行目と3行目の間に)

【雑誌と四六判のみ】・振り返ってみて、あれを境に劇的に変わったと感じるエピソードはないのだ。※文庫のみ削除(p19の5行目変わっていないように思う。のあとに続く)

【雑誌のみ】・結果、これまでフリーのライターが食い込めていた仕事を専属のプロフェッショナルがやったりする流れができあがっているのだ。(p20の3行目の後に入る)

【文庫→雑誌】・前からつばの広い麦わら帽子を被った人影が歩いてきた。(p27)→前方から麦わら帽子を被った人影が歩いてきた。

【文庫→雑誌】・麦わら帽子で顔が陰になって、(p27)→手拭いを被った上から麦わら帽子を載せているため、顔が影になってよく判らない。

【文庫→雑誌】・肌はよく焼けていて、帽子からはみ出した髪は白髪交じりだった。(p27)→皺の具合は初老に見えたが、よく日焼けしていて、髪の色も帽子で判らない

【文庫→雑誌】・周囲には種類の違う雑木がぽつぽつ立っていて、伸びた枝葉が影を落としている。(p28)→両脇に気がぽつんと突っ立っており、伸ばした枝葉が落としている影の中。

【文庫→雑誌】・やってきた壜の冷酒をお猪口ではなくコップに注いで呷る。(p32)→やってきた冷酒をコップに注いで呷る。 ※壜…何か連想しますね…。この文庫が出た時点でまだ『T島事件』は刊行されていませんので。

【文庫→雑誌】・「そうですね。あとひとつ、スコアが増えるというのもあるんですが、ともかくそれらはいことだれけですか?」(p34)→「そうですね。あと一つあるんですが、それはさておき、それらは、いいことだれけですか?」

【雑誌のみ】・最低でも、警察に通報していただろう。今しがた流れたばかりの血の跡があると。疑われるかもしれない云々を差し置いても、ネタになるかもしれないから。(p36の13行目面白いだろうと。の後に続く)

【雑誌のみ】・いや、同じなのだ。同じ岩場なのは間違いない。間違いない、と思う。(p37の1行目の後に続く)

【文庫→雑誌】・呟いて岩場にしゃがみ込む。(p37)→呟いて岩場に近寄ってみる

【文庫→雑誌】・不自然な色が確かに保存されている。(p40)→自然環境には不自然な色。茂みに一輪だけ咲いた蘭のような

【文庫→雑誌】・その夜、俺は腹痛に襲われたのだ。(p43)→その夜、俺は突然腹痛に襲われたのだ。

【雑誌のみ】・そう思い、腹を押さえながら考え続けた。誰がどうしたらあの染みは消えるだろう。(p 46の10行目の後に続く)

以上「穴へはキノコをおいかけて」の違いでした。個人的には流川のおおよそのキャリア年数がわかったのが収穫でした。次回は「残響ばよえ~ん」について書きます。ご覧いただきありがとうございました。次回もよろしくおねがいします。

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