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2020年1月9日木曜日

「俺より強いヤツ」#3

詠坂雄二『インサート・コイン(ズ)』内の短編「俺より強いヤツ」検証第3回目、最終回です。

三者三様の話を詠坂と柵馬があれこれ検証しています。
最後までお付き合いいただければ幸いです。

・【雑誌のみ】…文庫版では削除。文庫版のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫版書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…文庫の文が雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。
ネタバレもありますので、作品読了後にご確認ください。




「俺より強いヤツ」#3


【文庫→雑誌】・ただ、と気の乗らない顔で詠坂は言う。(p147)→病狐も屍狼も、現在、看板を掲げて商売をしている。ある意味で公的な存在だ。取材を申し込むルートができている。ところが泥犬は違う。喧嘩から離れているわけでもないし、居場所が知れないというわけでもないらしいのだが―

【文庫→雑誌】・俺は今でも喧嘩が得意だし、それが生かせる仕事をしてる。(P149)→俺は今でも喧嘩が得意だし、そういう気持ちで仕事をしてる。

【文庫→雑誌】・狐に投げられたのさ。二階にいて、狐の左手を摑んだ時だった。(p150)→そう、狐に投げられたのさ相手の左手を摑んだ時だった。

【文庫→雑誌】・やりたくないって思っただけだった。(p150)→やりあいたくないって思っただけだ。

【雑誌のみ】・確か春麗は一九六八年生まれ、つまり来年で四十歳だ。そりゃ俺も歳を取るわけだよ、などと。(文庫p157の7行目と8行目の間に入る)

【文庫→雑誌】・「小説を書くためにゲームやるほどバカじゃありませんよ!(p158)→「小説を書く言い訳作りのためにゲームやるほどバカじゃありませんよ!

【文庫→雑誌】・難しいだけなら挑戦する甲斐もあるだろうが、そもそも物語は重要でもないのだ。戦うこと自体が目的なのだから。(p160)→簡単じゃないし、重要でもないのだ。戦うこと自体が魅力なら。

【文庫→雑誌】・泥犬は、喧嘩が得意で人に言われるまま戦っていたが、対戦相手に恐怖を覚えたから犭をやめた(p160)→泥犬は、喧嘩が得意で人から頼まれるまま戦っていたが、相手に恐怖を覚え人らしくなったため犭をやめた

【文庫→雑誌】・彼らは戦いながら、その時、ただ戦うことを上回る物語を見つけた。もしくは見つけたがった。(p162)→彼らはそうしながらもその時、ただ戦うことを上回る、自分だけの物語を見つけた。

【雑誌のみ】・囲碁や将棋に究めたということがあるはずもない。(文庫p162の10行目と11行目の間に入る)

【文庫→雑誌】・俺は長編の主人公を務められるような人間じゃない。(p164)→俺は主人公を務められるような人間じゃない。

【文庫→雑誌】・未来が今の俺にあるとはとても思えないから。(p165)→未来が俺にあるとはとても思えないから。

以上「俺より強いヤツ」の検証でした。柵馬朋康が雑誌ではより悲観的になっていましたね。「インサート・コイン(ズ)」以降は立ち直っているようですが。春麗は、2020年現在、52歳ですね。

コメントなどありましたらお気軽に。
次回は「インサート・コイン(ズ)」になります。
ご覧いただきありがとうございました。


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