詠坂雄二『インサート・コイン(ズ)』の短編「そしてまわりこまれなかった」検証第第4回、最終回です。
ネタバレがありますので作品読了後にご確認ください。
・【雑誌のみ】…文庫版では削除。文庫版のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫版書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…文庫の文が雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。
「そしてまわりこまれなかった」#4
【雑誌のみ】・ライター業を自分の夢だと思ったことはない。有名になることを空想したことはあっても、真剣に望んだこともなかった。なのに―(文庫p252最終行“賜だと信じている。”の後に入る)
【文庫→雑誌】・夢を叶えた、か。(p253)→夢を叶えた。宇波は俺のことをそんな風に見ていたらしい。
【雑誌のみ】・俺がどうしようと、宇波が死ぬ気だったのは間違いない。(文庫p253の7行目“三日に死ぬのも早すぎだ。”と“仕事がないことを”の間に入る)
【文庫→雑誌】・村尾はそっと会釈して立ち去り、俺も実家へ向かい歩き出した。(p253)→彼女はそっと会釈し、駅の方角へと歩き出した。俺も実家へと歩き出した。
【文庫→雑誌】・ファミコンにスイッチを入れたのは六日の朝だった。七日の夕方、俺は自宅で眠たい目をこすっていた。(p255)→ファミコンにスイッチを入れたのは、六日の朝だった。八日の夕方、俺は自宅で眠たい目を擦っていた。 ※八日の夕方、というのは作者のミスか。文庫p264の11行目“数えると三十時間近く起きている計算になった。”という文は雑誌でもそのまま。エンディングを迎えファミコンの電源を落として顔を洗ったあと詠坂に電話したくだりは雑誌も一緒なので、八日の夕方だと四十八時間以上起きていることになる。
【文庫→雑誌】・42インチの液晶に映るファミコンの画面はどこか仰々しい。(P255)→四十二インチの液晶に映るファミコンの画面はどこか馬鹿馬鹿しい。
【文庫→雑誌】・くだらない問いに嫌々付き合ってくれる知り合いとなると、俺はこいつくらいしかいない。(p257)→くだらない問いにも付き合ってくれる知り合いとなると、俺にはこいつくらいしかいない。
【文庫→雑誌】・「……いつも思うんですけど、柵馬さんが持ち込む問題ってやたら条件が曖昧ですよね。(p259)→「……いつも思うんですけど、柵馬さんが持ち込む問題って、やたら解答の条件が厳しいですよね。
【文庫→雑誌】・優れたゲームにはそれだけの力がある。(p266)→ゲームにはそれだけの力がある。
今回で『インサート・コイン(ズ)』内の全作品の違いを見終えました。
コメントなどありましたらお気軽にお願いします。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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