詠坂雄二『インサート・コイン(ズ)』の短編「そしてまわりこまれなかった」の検証第3回目です。
今回は、雑誌のみ、雑誌と四六判のみに出てくる固有名詞があります。
こういう発見は、調べている面白さですね。
・【雑誌のみ】…文庫版では削除。文庫版のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫版書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…文庫の文が雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。
ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
「そしてまわりこまれなかった」#3
【文庫のみ】・訃報の連絡を卒業アルバムに頼らなければならなかった理由がこれで判った(p237)
【文庫→雑誌】・壁にかけられたカレンダーは去年の十二月のままだった。(p238)→壁にかかったカレンダーは十二月のままだった。今年の分は見当たらない。
【雑誌のみ】・データを徹底して消したことを考えれば、そっちにも死ぬ理由を綴ったものはないと見ていいだろう。もしあれば、家族が先に見付けているに違いない。(文庫p239の3行目“漁る元気はもうなかった。”と“パソコンとゲーム機を”の文の間に入る)
【文庫→雑誌】・Ⅸの発売日が再来月の予定になってると俺は答えた。「例によって延期するかもしれないけどな」「再来月ってあっという間だよな」(p241)→再来月だと俺は答えた。「再来月って、あっという間だよな」
【文庫→雑誌】・子供のころは二ヶ月なんて永遠と見紛う時間だった。(P241)→子供の頃だったら、二ヶ月と言えば世界が滅びまた創世される程の、永遠と見紛う時間だった。
【文庫→雑誌】・詠坂(p245)→知り合いのミステリ作家
【文庫→雑誌】・何人かが集まって独立して、小さな会社ですが今も続いています。(p250)→何人かで集まって独立したんです。セパツーっていう小さな会社ですが、今も何とか続いてます。 ※村尾たちのセパツーという社名は雑誌のみで、四六判でも削除されています。
【文庫→雑誌】・「毎年送っていました。人材急募中って添えて」そうなんですかと応えつつ、疑問が浮かんだ。(p250)→「毎年送ってました。有能な人材急募中って添えて」
【雑誌のみ】・ゲーム制作は二度としたくなかった―んだろうか?(文庫p250の15行目のあとに入る)
【文庫→雑誌】・俺がライターとして出発したゲーム誌であるプレスタは、どんな記事にも署名を入れさせてくれたのだ。(p251)→俺がライターとして出発したゲーム誌はマニア向けで、大きな雑誌じゃ考えられないことだが、どんな記事にも署名を入れさせてくれたのだ。
【文庫→雑誌】・ネットで叩かれたりすることもあるようだ。(p252)→ネット上で雑談の引き合いに出され、叩かれたり誉められたりすることもたまにあるようだ。
【文庫→雑誌】・「私も柵馬さんの記事、何度か読ませてもらってますよ。プレスタの実在ダンジョン特集なんか大好きでした」(p252)→「私も柵馬さんの記事、何度か読ませて貰ってますよ。プレスタとか、うまげーとかで。実在ダンジョン特集とか大好きでした」 ※うまげーは、四六判には収録されていました。文庫化の際に削られました。
【雑誌のみ】・プレスタもうまげーもゲーム誌だ。どちらも今はもうない。(文庫p252の5行目と6行目の間に入る)
・セパツーもうまげーも闇に葬られました。うまげーに関しては、柵馬の出る作品が『ナウ・ローディング』以降発表されるなら、再登場する可能性はありますね。文庫で削られたので、“うまげー”とは出ず、仕事をしていたゲーム誌、ということで出るかもしれません。
#4へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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