詠坂雄二『インサート・コイン(ズ)』の短編「そしてまわりこまれなかった」の検証第2回目です。
ドラクエⅢの最大の伏線は、一体何なんでしょうか。
『ナウ・ローディング』でもドラクエⅢの話題が出てきますね。
ネタバレがありますので作品読了後にご確認ください。
・【雑誌のみ】…文庫版では削除。文庫版のどこに書かれていたかも記載しています。
・【文庫のみ】…文庫版書き下ろしです。
・【文庫→雑誌】…文庫の文が雑誌ではこうだった。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。
「そしてまわりこまれなかった」#2
【文庫→雑誌】・宇波の問いはそのことを踏まえたものだろう。シリーズの完結を演出するためちりばめられた伏線、その中でいちばん大きなものとは何か?(p230)→宇波の問いはそのことを尋ねているんだろう。『ドラクエⅢのエンディングを演出する為にちりばめられた伏線、その中で一番大きなものとは何か?』
【雑誌のみ】・となれば、最大の伏線はタイトルのような気がする。(文庫p230の9行目“当然た。”と“知り合いのミステリ作家”の間に入る)
【文庫→雑誌】・なじみのない年賀状に書く必要はない。だからあいつは訊きたくてじゃなく、きっと伝えたくて尋ねたのだ。何かを。(p231)→まったくやり取りしていなかった年賀状に頼る必要はない。あいつは、俺に伝えたくて尋ねたのだ。何かを。
【雑誌のみ】・相手の屈託のない仕草のおかげだ。(文庫p231の11行目“当時の空気が蘇る。”と“提灯の淡い明かりでも”の間に入る)
【文庫→雑誌】・「ないんじゃないか。親御さんの口振りだと、地元の古い連れは俺ぐらいしか連絡取れなかったみたいだ。それも携帯じゃなく家の電話にかかってきたんだぜ」「どういうことだよ」「高校の卒業アルバムさ。今はどうか知らないが、俺らの時には連絡先が載ってたろ。それを頼りに電話が来たんだ。誰かと付き合いがありゃそんなことにはならんだろ」(p233)→「ないんじゃないか。連絡来た時も、お袋さんにそんなようなことを言われたぞ。俺ぐらいしか連絡取れなかったか、仕切屋気質が十年経ってもまだ覚えられてたか」
【文庫→雑誌】・昔のままじゃいられんよと猫本は空に煙を吐き出す。(P233)→完璧主義者ではいられんよと猫本は空に煙を吐き出す。
【文庫のみ】・ま、家を継いだらそんなことも言ってられなくなるだろうけどな」(p234)
【文庫→雑誌】・他人事ではないのだ。自分と宇波は対して変わらない。それとも違うんだろうか。ふと流川さんのことが頭に浮かんだ。俺が疑問を持ちながらも仕事を投げ出さずやってこれたのは、尊敬できる人がいたからだ。(中略)これといった理由もないのに、こういう死に方をしてしまう可能性はあるぞと思えた。(p235)→自分と宇波は対して変わらないという想いは確かなものとしてあった。
【文庫→雑誌】・いやそれどころか、ずっと以前、まだ十代のころ、ファミレスの料金さえ惜しみ、公園に集まって騒いでいたころとまったく一緒のようにさえ思えた。(p236-237)→いや、一昨年どころか、ずっと前、ファミレスの代金さえ出し惜しんで暇を持て余してた頃、意味なく集まって騒いでいた時とまったく一緒のようにさえ思えた。
#3へ続きます。
次回もお付き合いいただければ幸いです。
ご覧いただきありがとうございました。
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