【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「第六章」検証第15回
今回は「第六章」15回目です。
引き続き阿比留と捜査一課長と話をしている場面です。
阿比留が、有田智世の検案書に性的虐待の痕跡があったことを消すよう公安から圧力があったこと、そこから推理できることを語っています。
以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。
【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。
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「第六章」#15
【文庫→四六判】その証言を直接裏付けるものがことごとく消えています」(p202)→その証言を直接に裏付けるものがことごとく消えていますから」
【文庫→四六判】―時間が経ってから犯人が判るってのはまだるっこしくていけないが、本当なら喜ばしい。(p202)→―時間が経ってから犯人が知れるってのはまだるっこしくていけないが、本当なら喜ばしいな。
【文庫→四六判】「足し引きも引く数が大きければ損になります。それともそっちは本部長の更迭で精算済みなんですか」(p202)→「足し引きも引く数が大きければ損だ。それともそっちは本部長の更迭で精算済みですか」
【文庫→四六判】「異動だよ。まあ、栄転とは間違っても呼べないし、そういうことになるのかな。……どこまで知ってる?」(p202)→「異動だよ。まあ、栄転とは間違っても呼べないか。……だがま、そう、そういうことになるかな。―どこまで知ってる?」
【文庫→四六判】「喋ってみろ」阿比留はベンチに座り直し、背中を丸めて声を潜めた。(p202)→「……喋ってみろ」阿比留はベンチへ座り直し、背中を丸め、声を潜めた。
【文庫→四六判】事件の本部長指揮が決まったのは、(p202)→遠海事件の本部長指揮が決まったのは、
【四六判のみ】派手な事件で点数稼ぎかとも思いましたが、その割に後で熱心な捜査が行われたという記憶はない。(文庫p202の最終行“タイミングでした。”の直後に入る)
【文庫→四六判】さらに有田智世の検案書から、性的虐待を示唆する部分を消すようにとの圧力もあったとか」(p203)→更に、有田智世の検案書から、性的虐待の痕跡にかかわる記録を消すようにとの圧力もあったとか」
【文庫→四六判】「それでどんな話が組み立てられる?」(p203)→「そこからどんな話が組み立てられる?」
【文庫→四六判】閉じられた好き者たちの環で営業をしてたんでしょう。ではなぜ、そんなものを防犯ではなく公安が探っていたのか。(p203)→閉じられた好き者達の環の中でのみ営業をしてたんでしょう。では何故、そんなものを防犯ではなく公安が探していたのか。
【文庫→四六判】下は勝手にやるだけだ。問題は、そうした上の都合と殺しとのあいだに関わりがあったのかなかったのか、(p204)→それならそれで下は勝手にやるだけだ。問題はな、阿比留、そうした上の都合と殺しとの間に関わりがあったのかなかったのか、
【文庫→四六判】「殺したやつのプラスに働いたことは間違いありません。(p204)→「殺した奴へプラスに働いたことは間違いありません。
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ご覧いただきありがとうございました。
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