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2020年9月6日日曜日

『遠海事件』「コラム⑥ 佐藤誠 その裁判」#1 狂気を測る定規

【ネタバレ】詠坂雄二『遠海事件 佐藤誠はなぜ首を切断したのか?』(光文社文庫)「コラム⑥ 佐藤誠 その裁判」検証第1回



詠坂氏は初出時から書籍化、文庫化される際に手を加えています。

『遠海事件』は、詠坂雄二の代表作というか、主要キャラの佐藤誠が主人公で、他作品へのクロスオーバーが多く、他の作品を読む前に是非呼んでいただきたい一冊になります。
作者自身は「設定の使いまわし」というようなことを言っていますが、私個人的にクロスオーバー作品は好きです。


さて今回は「コラム⑥ 佐藤誠 その裁判」1回目です。
コラム前半、阿比留が佐藤の自白の裏付けを続けなかった理由のあたりまでになります。


以下ネタバレもありますので作品読了後にご確認ください。



【四六判のみ】…文庫では削除。削除部分が文庫のどこにくるかも記載しています。
【文庫のみ】…文庫書き下ろしです。
【文庫→四六判】…四六判ではこうだった(カッコ内は文庫のベージ数です)。
というように書いていき、必要なところは解説も加えます。重要な部分は太線にしています。

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「コラム⑥ 佐藤誠 その裁判」#1


【文庫→四六判】でき→出来

【文庫→四六判】いくら自首以前の彼に近付くことができたとしても、逮捕に至らなかった以上、安易な称賛は捜査員の名誉のためにも控えるべきだろう。(p211)→いくら逮捕以前に彼へ近付くことが出来たとしても、結果に繋がらなかった以上、安易な称賛は捜査員の名誉の為にも控えるべきだろう。

【文庫→四六判】だがこういった進展を呼び込めるのが組織の力であることも事実である。(p211)→だがこういった進展を呼べるのが組織の力であることも、また事実である。

【文庫→四六判】証言の裏を取ることもできる。(p211)→のみならず証言の裏を取ることも出来る。

【文庫→四六判】佐藤誠のような犯罪者相手ではいくらか分の悪い面もあるが、(p211)→佐藤誠のような犯罪者を相手にしてはいくらか分が悪い面もあるが、

【文庫→四六判】警察の力はやはり侮れないと言える。(p211)→警察の力はやはり侮れないものと言える。

【文庫→四六判】狂気を測る定規には、正気を用いるほかはない。(p211)→狂気を測る定規には、正気を用いる他はないのだ

【文庫→四六判】組織内部に悪があったとしても、それのみを理由にすべてを否定するには及ばない。(p211-212)→たとえ組織内部に悪があったとしても、それのみを指して全てを否定するには及ばない。

【文庫→四六判】脇へ逸れてしまったが、(p212)→やや脇道へ逸れてしまったが、

【文庫→四六判】彼の胸には佐藤誠が遠海事件の犯人であるという確信が蘇っていたし、(p212)→彼には佐藤誠が遠海事件の犯人であるという確信が既に充分蘇っていたし、

【文庫→四六判】八十人を殺したと自首する人間をかばってやる理由などなかったからだ。(p212)→八十人を殺したと自首する人間を庇う理由などどこにもなかったからだ。

【文庫→四六判】それもあり、(p212)→おかげで


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